イヤーカフ型のイヤホンはこれまでかなりの数を触ってきましたが、正直なところずっと「どこかを妥協するもの」という前提で試していました。
低音が物足りなかったり、タッチ操作が誤反応したり、バッテリーが心許なかったり。それぞれのモデルがそのうちのひとつふたつはクリアしてくるのに、全部まとめて解決してくるものがなかなかなかったんですよね。
SOUNDPEATSの「UU2イヤーカフ」(税込7,280円)は、2026年4月20日に発売されたばかりのモデルです。
前モデルのUUイヤーカフからBluetooth規格・コーデック・ドライバーサイズ・バッテリーと、主要な項目がほぼ全面刷新されています。
今回サンプルをご提供いただいたので、開封から実際の使用感まで順番に見ていきます。
スペックの変化点 前モデルからどこが変わったのか
まず数字の整理から。前モデルのUUイヤーカフと並べてみるとこうなります。
| 項目 | UUイヤーカフ | UU2イヤーカフ |
|---|---|---|
| Bluetooth | 5.4 | 6.0 |
| コーデック | AAC / SBC | LDAC / AAC / SBC |
| ドライバー | 10.8mm | 12mm(チタンPVDコーティング) |
| 本体再生時間 | 8時間 | 10時間 |
| ケース込み | 30時間 | 42時間 |
| 最大音量 | ― | 前モデル比+3.17dB |
表にすると地味ですが、中身はかなり変わっています。特にLDACへの対応が大きくて、この価格帯のイヤーカフ型で対応しているのは現時点でUU2だけです。
ただ、LDACはAndroid専用の規格なので、iPhoneユーザーには関係のない話になります。「LDAC対応」という言葉につられて購入してがっかりする前に、これだけは知っておいてください。
バッテリーもケース込みで30時間から42時間に伸び、最大音量も前モデル比で3.17dBアップ。3dBというのは体感的にはっきりわかるレベルの差で、数字より実際の違いが大きいです。
全体的に「前モデルの弱かった部分を丁寧につぶしてきた」という作りになっています。
開封 外箱から付属品まで

箱を手に取ってまず気づくのが、外箱に「POP Clip2」と書いてあること。製品名はUU2イヤーカフのはずなのに、外箱もBluetooth接続時のデバイス名もPOP Clip2と表示されます。製品の本来のモデル名がPOP Clip2で、日本市場向けにUU2イヤーカフという名称を使っているという経緯があるのですが、これを知らずに届くと「違うもの来た?」とひやっとします。購入前に知っておくと安心です。

中には充電ケース・USB-Cケーブル・説明書。イヤーカフ型なのでイヤーピースの替えはなく、付属品はシンプルです。
外観・質感チェック

充電ケースを手に取ると、まず質感に驚きます。表面はサラサラしているのにどこかしっとりした独特の感触で、指紋がほとんど残りません。「UV nano-excimerスキンフィールコーティング」という特殊加工によるものらしく、説明を読んでも正直よくわかりませんが、とにかく触り心地がいいです。7,000円台のガジェットには見えない仕上がりで、ここは素直に感心しました。
ケースを開けると、U字型のイヤホンが収まっています。左右の区別がなく、どちら向きに入れても蓋を閉じて取り出せば自動で割り当てが変わる設計です。朝の忙しい時間帯に「あれ、どっちが左だっけ」をやらなくて済む。細かいことですが、毎日使うものなのでこういう配慮が地味に効いてきます。

イヤホン本体は片耳5g。手に乗せると「これで音が出るの?」と思うくらい軽いです。ブリッジ部分は0.5mm厚のニッケルチタン合金で、見た目より柔軟性があります。この薄さが装着感に直結していて、耳への圧迫感が少ない理由のひとつになっています。カラーはブラック・ブルー・ベージュの3色で、今回はブラックをお借りしました。

ボタンは本体側面にひとつ。タッチパネルではなく、押したときに「カチッ」というクリック感があります。
装着感 「つけていることを忘れる」はさすがに言い過ぎですが

実際に着けてみると、締め付け感というより「耳に沿っている」という感覚で、U字型のブリッジが軟骨をやさしく挟む感じです。力で固定しているというよりは、形状が耳に合っているから外れない、というイメージが近いです。
最初の1〜2日は装着位置を微調整しながら使っていました。低音がしっかり聞こえて、動いてもズレにくい位置が見つかると、あとはそこに合わせるだけ。慣れると10秒もかからず着けられるようになりました。
1〜2時間の連続使用でも耳が痛くなるタイミングは来なかったです。カナル型だと長時間使ったあとに外耳道が疲れてくることがありますが、イヤーカフ型にはその疲れ方がありません。軟骨への圧迫感も、最初は少し気になりましたが数日で慣れました。

眼鏡やマスクとの干渉もなし。ブリッジが薄いので、眼鏡のテンプルと重なっても気になりませんでした。日常的に両方使っている方にとっては、ここが一番気になるポイントだと思うので参考にしてください。
ウォーキングや軽めのランニング程度ではズレませんでした。激しい運動での保持力は正直期待しないほうがよくて、これはUU2に限った話ではなくイヤーカフ型全般の話です。
音質 低音の押し出しはイヤーカフ型の中でトップクラスでした
ここが今回のレビューで一番書きたいところです。
今まで試してきたイヤーカフ型の中で、低音の厚みという点ではUU2が一番印象に残っています。12mmのデュアルマグネット・ダイナミックドライバーに、チタンPVDコーティングの振動板が組み合わさっていて、オープン型とは思えない押し出し感があります。ヒップホップやEDMを聴くと、ビートのキック感がちゃんと体に届いてくる。耳を塞いでいないのに、です。
音場も独特で、密閉型のように頭の中に音が閉じ込められる感じがなく、目の前に広がるような聴こえ方をします。ボーカルの抜けもよく、音楽を聴くための道具として普通に楽しめる水準でした。
一方でクラシックやジャズをじっくり聴き込みたい方には向きません。音数の多い曲で楽器の分離感がやや弱まりますし、高音域の繊細な表現はカナル型密閉イヤホンとは差があります。ただこれは欠点というより用途の違いで、パワフルに音を楽しむ方向に特化した音作りだと割り切るとしっくりきます。
DynamicEQは必ずオンにしてください
DynamicEQはデフォルトでオフになっています。 専用アプリ「SOUNDPEATS」をインストールして手動でオンにしないと、本来の音が出ないままです。
最初にアプリなしで使ったとき「他のイヤーカフ型と大差ないな」と思ったのですが、DynamicEQをオンにした瞬間に音の密度がぐっと上がりました。これを知らずに使い続けると、このイヤホンの実力を半分も引き出せないまま終わってしまいます。デフォルトでオフという設定はかなりもったいない仕様で、ここはSOUNDPEATSに変えてほしいと思っているところです。

アプリでは8バンドのカスタムEQ、スペーシャルオーディオ、ゲームモード(低遅延)なども設定できます。この価格帯のイヤホンとしては機能が豊富で、使い込む余地があります。ただし、アプリ自体のストアレビュー評価がかなり低く、安定性に不安を感じる方もいるようです。自分の使用範囲では問題ありませんでしたが、改善は期待したいところです。
物理ボタン「今さらボタン式?」から「これが正解」に変わりました
タッチ操作が主流のイヤホン市場で、UU2はあえて物理ボタンを採用しています。正直、使う前は「今さら」と思っていましたが、数週間使ってその考えが変わりました。
クリック感があるので操作が確定したかどうかが指でわかります。「今押した?押せてなかった?」と確認する必要がなく、手袋をしていても、汗をかいた手でも確実に操作できます。
イヤーカフ型は頭を動かすたびに髪や衣服が触れやすい構造なので、タッチ式だとこれが誤操作につながることがあります。物理ボタンはその心配がなく、外出中に一度も誤操作が起きませんでした。タッチ式のイヤホンを使っていたとき、じわじわストレスになっていたのが解消された感じです。
ボタンの位置は最初の数日だけ手探りで確認しながら操作していましたが、1週間もすれば体が覚えます。
音漏れとプライバシーモード
電車内で使うとなると音漏れが気になるところです。プライバシーモードをオフにした状態で乗ると、周囲に聞こえるレベルで漏れていました。オープン型である以上、ある程度は仕方ない部分です。
専用アプリの「プライバシーモード」をオンにすると、音漏れの原因になる高音域が抑制されて、シャカシャカ音の漏れがかなり軽減されます。普通の音量で聴く分には、隣の人に迷惑をかけるレベルではなくなりました。
ただ、プライバシーモードをオンにするとEQ設定がすべてキャンセルされてしまいます。せっかく設定したDynamicEQの効果も消えるので、音の迫力は落ちます。これは少し設計を惜しく感じた部分で、プライバシーモードとEQが独立して使えるようになると理想的なのですが、現状では公共の場か音質かをシーンごとに切り替える運用になります。
バッテリーと充電
本体単体で最大10時間、充電ケース込みで最大42時間。実際に計測したところ、音量30%・LDAC OFFの条件で約9時間40分という結果が出ていて、公称値に近い数字でした。LDACをオンにすると5時間前後まで落ちますが、iPhoneユーザーにはもともとLDACが使えないので、実質10時間が基準になります。
毎日1〜2時間の使用であれば、1週間近く充電せずに使えます。急速充電にも対応していて、10分で2時間分の充電ができるので、「朝起きたら充電が切れていた」という状況でも、朝食の時間だけ繋いでおけばかなりリカバリーできます。
ワイヤレス充電には対応していません。この価格帯に求めるのは少し贅沢かもしれませんが、最近は対応モデルが増えてきているので、次のモデルでは検討してほしいところです。
通話品質
イヤーカフ型はマイク性能が弱いイメージがありますが、UU2は思っていたより使えました。雑踏の中でも相手に声が届く性能で、普通の通話に加えてWeb会議でも問題なく使えました。声が少し機械音っぽくなりますが、気になるレベルではなかったです。スマホとPCをマルチポイント接続して在宅勤務で使うシーンにも向いています。
気になった点
マルチポイント接続とLDACの同時使用はできません。スマホとPCを繋ぎながらLDACの音質も活かしたい、という使い方はどちらかを諦める必要があります。先述のプライバシーモードとDynamicEQが同時に使えない仕様も、改善してほしいポイントです。
あと、外箱とBluetooth名が「POP Clip2」で製品名と統一されていないのは、最初の混乱を生みやすいと感じます。一度理解してしまえばなんともないのですが、初見の印象としては整理してほしいところです。
競合モデルとの比較
| モデル | 価格 | LDAC | 物理ボタン | 本体再生 | ケース込み |
|---|---|---|---|---|---|
| SOUNDPEATS UU2 | 7,280円 | ◯ | ◯ | 10時間 | 42時間 |
| Anker Soundcore C40i | 9,990円 | ☓ | ☓ | 10時間 | 40時間 |
| EarFun Clip2 | 9,990円 | ☓ | ☓ | 10時間 | 40時間 |
| EarFun Clip | 7,990円 | ☓ | ☓ | 10時間 | 40時間 |
| QCY Crossky C30 | 6,580円 | ☓ | ☓ | 8時間 | 32時間 |
1万円以下でLDACと物理ボタンが揃っているのは、現状UU2だけです。上位2機種より安くてバッテリーも同等以上。Androidユーザーであればコーデック面での優位性もある。スペックで比べると、頭ひとつ抜けているのが正直な印象です。
QCY Crossky C30は価格が安いですが、バッテリーとコーデック対応で差が出ます。よほど予算を絞る理由がなければUU2を選んだほうが後悔は少ないと思います。
まとめ
7,000円台のイヤーカフ型として、低音・装着感・操作性・バッテリーのバランスがここまでまとまっているモデルは、今まで触ってきた中ではありませんでした。明確に「ここが無理」と感じるシーンがなく、日常使いのメインイヤホンとして普通に選べる仕上がりです。
改善してほしい点がないわけではなく、プライバシーモードとDynamicEQの共存や、マルチポイントとLDACの同時使用あたりは次のモデルで解決されることを期待しています。
ひとつだけ最後に言わせてください。購入したらまずアプリを入れて、DynamicEQをオンにしてください。それだけで印象がまったく変わります。